希望の森自由学園
2
「いってきま~す」
「学校頑張るのよ?1か月に一回は帰ってくるのよ?」
「はいはい。姉ちゃんも元気でね?」
俺たちは明日の入学式を前に一足先に入寮することにした。
力と一緒だから大丈夫。
俺だってもう高校生なんだもん。
隣の力を見上げると何だか嬉しそうに微笑んでいた。
“カッコいいな~どうしてあんな顔出来るんだろう?”
いかん俺は何を考えてるんだ。
同じ血を分けた弟だぞ。
しかも双子の!!
「・・・どうした?顔赤いぞ」
「何でも無い!!早く行こうぜ」
「?あぁ」
「まだかよ~学校遠くねえ?もう疲れた~」
「・・・もうすぐだ。・・・カバン」
「サンキュ~助かった。持つべきものは弟だよな?」
「10分しか違わねえよ」
「10分でも兄貴は兄貴だからな~弟くん」
「・・・・・・」
家から電車とバスで3時間かかってやっとこれから3年間お世話になる高校に到着した。
一年目の高校は本当に綺麗でこれから通えるのが嬉しくなる。
誰も使ってない教室とか、寮とか。
何でも一番って嬉しいじゃん?
だから勉強も頑張って一番になったんだけど。
「・・・代表挨拶考えたのかよ」
「まだだけど、適当に言えば大丈夫でしょ?力は考えすぎだって~はげるぞ~?」
「・・・心配してやってんのに」
「兄想いの弟くんですね~嬉しいよ~」
「・・・行くぞ?」
「待って。まだ挨拶してない」
「誰に?」
「学校に。これから3年間お世話になるんだから。ちゃんと挨拶しなくっちゃ“お世話になります”」
和は深々と頭を下げて挨拶をした。
顔を上げてニッコリと和スマイルを炸裂させてる。
その笑顔で何人苦しめてきたんだ。
無自覚って本当に怖いな。
あまり笑わないでいただきたい。
・・・心配は尽きねーな。
「行こう。力~」
笑顔のお前には本当にかなわない。
その笑顔は勘弁してくれ・・・。
理性が保てなくなりそうだから。
「今の誰だ?」
そう独り言を呟いてしまった。
誰かが校門のところで深々と頭を下げていた。
“お世話になります”って学校に挨拶かよ。
そんな奴初めて見た。
どんな天然だよ。
すごく興味が沸いて来てどんな奴か知りたくなった。
顔を上げて満面の笑みで誰かと話してる。
その笑顔が可愛くて。
今まで見てきた女なんかとは比べ物にならない位輝いていた。
これから3年間あの笑顔と一緒に居られると思うと、この高校に合格して良かったと思う。
でも、隣にいる奴誰だよ。
かなりのイケメンだったな。
俺も顔には自信があるけど、俺から見てもアイツはいい顔だった。
彼氏か?
何でもいい、あの人の笑顔を見られれば。
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